・今日、4月5日は青木孝明さんの誕生日ということで、以前配布したフリーペーパー「Takaaki Aoki another story」をこの機会に電子化してみることにしました。
元々は青木さんのベスト・アルバム『タイムトラベラー』発売記念ライヴに配布したもので、それに加筆修正したものです。
出来上がった時はもの凄いボリュームで私にしては上手く書けたと思ったのですが、この機会に読み返してみると、さほど長くない上にお世辞にも上手く書けているとは言えません。
でも、青木さんの音楽についてどう思っていたか、青木さんの歴史を振り返るという意味ではなかなか頑張ったと思います。
それではもう少しお付き合いください。
・『L/C』~early metrotron years
青木孝明という名前を初めて意識したのは、おそらく1992年の初夏のことだったはず。
音楽、アニメ、漫画などについてひたすら深く掘り下げていたミニコミ誌「VANDA」vol.6に『L/C』のディスク・レビューが載っていたからだった。
その年の7月1日、日清パワーステーションでの鈴木博文のライヴ前、現なりすレコード主宰の平澤直孝から紹介されている。
その時は「VANDA」のことは思い浮かばず、「今度メトロトロンからCD出す」程度の情報を伝えられた記憶がある。
9月中旬にカーネーションのライヴを観に行ったら、「明日ライヴがあるんです」と教えられ、翌日会場の下北沢ロフトまで行っている。
その日は他に篠原太郎、後にPAN ACOUSTIC玉手箱のレーベル・メイトになる鈴木クリ(同レーベルからのアルバム『SOUPY』には青木と篠原が全面参加)が出演したのたが、純粋な3マンというよりは篠原が青木出演部分にゲスト出演したという感じで、青木と鈴木の2マンという印象が強かった。
最初にステージに上がった青木の出演部分を思い出してみると、リッケンバッカー、エピフォンのセミアコ、アコースティックの12弦を曲に合わせて使っていた。
その日のパフォーマンスでは「タンジェリンマン」と「退屈な昼休み」が印象に残っている。特に「退屈な昼休み」はテープをフットペダルで操作しながらの演奏で、こんな使い方があるのか!とかなり驚いた。この曲は後にインスパイアされた作品の映像を使って、更にインパクトを増したことを付け加えておく。
ただ、この日はアルバムで気に入っていた「マリアンヌ」や「日曜日」は演奏されなかった。
次に篠原が出てきて、まずThe Rolling Stonesの「AS TEARS GO BY」を弾き語りで。それから青木と一緒にThe Beatles「GIRL」とThe Byrds「MR. TAMBOURINE MAN」を演奏したのだが、「GIRL」は篠原がリード・ヴォーカルで「MR. TAMBOURINE MAN」は青木がリードだった。今にして思えばフリンジ(青木と篠原による洋楽カヴァーユニット)につながるパフォーマンスを観たということだと思う。
その後は青木がライヴをやるたびに通うようになっていった。『L/C』からの曲と当時の新曲~後に『MY FRIEND IN THE SKY』に収録された曲が中心の内容という記憶がある。
印象的だったのはメトロノームのリズムに合わせたパフォーマンスの「病院のプラネタリウム」やライヴの最後に演奏されることが多かった「ドライヴ」だった。
6月にはegg-manで青山陽一との2マン。メトロトロンのアーティストと初共演ということもあって、この日のライヴはテンションが高かった。
「サーカス」のイントロにシンクロする形で照明が点滅したのがあまりに衝撃的で、あの日から現在まで青木の作品でフェイバリットである。
7月にはクラブ・チッタのメトロトロン・ワークスに出演。
この日の「病院のプラネタリウム」は(鈴木慶一司会の)テレビ東京「モグラネグラ」でごく一部だけではあるが放送された。
この日は『MY FRIEND IN THE SKY』の発売日ということで、会場でCDを購入。
このツアー(大阪&名古屋公演)でwebb(綿内克幸のソロユニット時期)のサポートを初めてすることになったと記憶している。
この時期、青木はラママでの西村哲也のバンドBACK WATERSと、鳥羽修と山根こういちのユニットMOSQUITO主催のイベント「KOBITO POWER PRESENTS」のvol.2とvol.3に出演した。
このどちらかはバンド編成でのライヴで、『L/C』に参加していた福田賢がキーボードで出演していた記憶がある。
後に西村とはAFRQ、BAND EXPOを結成したり、お互いのソロにも協力しているし、鳥羽はエンジニアとして『melody circle』『PHASE FOUR』そして『さようなら、夢』に参加した。
このイベントは西村がソングライター、ヴォーカリストとして成長するひとつのきっかけだったことも非常に興味深いものにしている。
青木はまだ弾き語りがライヴの中心だったのでカヴァー曲がいくつか披露された時期であった。
具体的にはThe Beatles「ノルウェーの森」や
The millennium「There Is Nothing More To Say」、Neil Young「Sugar Mountain」などが挙げられる。
・AFRQ&ATBT~Jet Set Years
青木が渡米した際、NRBQのライヴを体験し、帰国後、その衝撃でその頃一番やってみたいメンバー、つまりベースとキーボードに篠原太郎、ギターに西村哲也、ドラムスに綿内克幸のサポートをしていた際に知り合った林義峰という顔ぶれでAOKI TAKAAKI FOLK ROCK QUARTET(以下AFRQ)を結成した。
このバンドは1995年4月下北沢QUE(ちなみに対バンはオレンジズ)の初ライヴから、1997年4月までライヴ、レコーディングを重ねている。
『L/C』『MY FRIEND IN THE SKY』収録曲はよりパワフルでカラフルになり、バンド結成以降の楽曲はライヴごとにブラッシュ・アップされていった。
『melody circle』に収録された「見知らぬ街で」は西村と青木のギター・バトルが炸裂して、曲全体が十数分に及ぶことがしばしばだった。
篠原のソロ・アルバムからの「少年の日の記憶」やザ・ブレイカーズ時代の作品「永遠のseason」を取り上げたり、西村のギターをフィーチャーしたDick Dale&His Del-Tones「Misirlou」も演奏したりとライヴはバンド色がより強くなっていった。
そして、AFRQとは違った持ち味の曲を演奏するためにAOKI TAKAAKI BAROQUE TRIO(以下ATBT)を結成している。ほとんどの楽曲で篠原がキーボードを担当していた(もう1人のメンバーはチェロの川守田祐加子→富樫亜紀)。
1995年にはさいとうみわこのデュエット・アルバム『ONE DOZEN GENTLEMEN』に「Kiss...」で参加。
AFRQのこの頃のライヴにさいとうは何度かゲスト出演している。
AFRQとATBTという2つの違った個性の結晶であるアルバム『melody circle』は1996年8月にリリースされた。
発売記念ライヴは渋谷egg-manでゲストに鈴木博文、綿内克幸を迎えて行われている。この日の購入特典はNRBQのカヴァー「If I Don't Have You」、「君の名前」のデモ・ヴァージョン、「ドライヴ」のライヴ・ヴァージョンなどが収録されたカセット・テープだった。
この時期くらいから、青木はあがた森魚、鈴木博文、鈴木慶一と鈴木博文のTHE SUZUKIや綿内克幸、青山陽一にZABADAKなどのライヴやレコーディングに参加することが増えていった。
綿内克幸のアルバム『Wildberry Pie』ではチューリップの財津和夫がプロデュースを、青木と篠原はアレンジャーでありディレクター的立場で参加している。
しかし、AFRQはあまりにも個性が強い顔ぶれだったこともあり、1997年4月のライヴで活動を停止することになった。
同年7月のメトロトロン・ワークスには青木孝明&Jet Setとして出演。AFRQほどバンド色は強くない流動的な形であり、セッションで知り合った面々と活動していた時期である。
この時期演奏されたカヴァー曲はThe Byrds「Eight Miles High」、Paul MaCartony&The Wings「Jet」(この曲はAFRQでも取り上げていた)、2moody(後にSUNNY名義で活動)とのセッションでの井上陽水「帰れない二人」、青山陽一とのセッションでの同じく井上陽水「東京ワシントンクラブ」であった。
青山陽一のバンドTHE BLUEMOUNTAINSにはこの少し前から参加していたが、1998年に徳間ジャパンからメジャー・デビューしたこともあって活動が活発になっていた時期でもある(担当はベースで、主にフレットレス・ベースを使用)。
2000年には4曲入りCD-R『life on mars』をリリース。色々な経緯があったこの作品は現在入手困難。ベスト・アルバム『タイムトラベラー』で半分は聴くことができるが、いつか完全な形で再発されるべき作品。
同年にはアルバム『PHASE FOUR』をリリース。このアルバムはこれまでとは一味違って、ギター中心の音作りからキーボードを重視した音作りをした作品である。
ピアノで作曲する機会が増えたらしく、ライヴでもキーボードを弾く割合が増えていった。
そして、ファースト・アルバム『L/C』がジャケットを一新し、ボーナス・トラックを追加して再発されている。ボーナス・トラック「While Lights」は某有名深夜番組にバンドL/Cが出演した際(当時のタイトルは「白い光」)に演奏された曲である。
・TAKA rec.~GUITAR EXPO/BAND EXPO years
2004年には新設されたTAKA rec.からアルバム『ONE DAY』をリリースした。このアルバム、規格番号はTAKD-002だが、TAKA rec.のカタログとして発売されたのは最初である。
『PHASE FOUR』の世界を推し進めた楽曲や、ギターを中心にした楽曲、メロディアスなインスト曲など、盛り沢山な内容になっている。
アルバムの販売促進用にあるイベントに出演した際に制作したCD-R、『A Young Person's Guide To AOKI T.』が存在する。各アルバムから1曲ずつ『L/C』からは「日曜日」、『MY FRIEND IN THE SKY』から「ドライヴ」、『melody circle』から「君の名前」、『PHASE FOUR』から「STARGAZER」(ちなみに選曲は青木自身)と、『melody circle』のライヴ会場購入特典から「If l Don't Have You」を収録した5曲入。全てリマスタリング済みだった。
2007年には架空のサウンドトラック集『SOUNDTRACK FOR FUTURE PAST』(CD-R)をリリースしている。かつて影響を受けた音楽に対するオマージュ的作品集なのだが、パロディ色よりもどこか生真面目な内容になっているのは青木自身の人柄によるものではないだろうか。
2008年には中野ブロードウェイ内にGUITAR EXPOを開店し、中野alternative cafe(その後GUITAR EXPOが移転した)でのシリーズ・イベントを開催する中で2012年にアルバム『さようなら、夢』をリリースした。
インスト曲の割合が増えたのは前作からの流れのはずだし、収録曲の「ギターfeaturing篠原太郎」は青木の音楽に向き合う姿勢が前面に出たこの時期の代表曲と呼べる作品である。
2013年には西村哲也、セロファン~タマコウォルズ~双六亭の河野薫とBAND EXPOを結成(初期にはドラムスにサイクルズ~双六亭などの中原由貴が参加していた)。優れたソングライター、ヴォーカリスト、プレイヤーである3人によるバンドで、2016年にはアルバム『BAND EXPO』をリリースし、2020年リリースの矢部浩志のカヴァー・アルバムに参加している(ちなみに矢部は途中からだが、BAND EXPOのライヴにドラムスでレギュラー・ゲストという形で参加していた)。
2014年12月にはベスト・アルバム『タイムトラベラー』をリリース。レーベルを超えた選曲とピース・ミュージック中村宗一郎のリマスタリングの充実した内容。
発売記念ライヴは渋谷LAST WALTZで久々にJet Setでの出演。ギター&キーボード篠原太郎、ベース吉川真吾、ドラムス葛迫隆敏という顔ぶれは2004年『ONE DAY』発売記念ライヴのメンバーと全く同じであった。
2020年にはGUITAR EXPOの活動に一区切りをし、綿内克幸『almost green』発売記念ツアーに参加(ベースは小里誠、ドラムスは阿部耕作の元ザ・コレクターズのリズム・セクションだった)。
2022年1月26日にはニューアルバム『声』が発売される予定。
発売記念ツアー日程。
・1/16(日)東京 神保町 試聴室(sold out) 青木孝明&伊藤隆博
・2/5(土)→5/28(土)名古屋 今池 バレンタインドライブ→KDハポン 青木孝明/綿内克幸(延期)
・2/6(日)→5/29(日)大阪 北浜 雲州堂 青木孝明&西村哲也/綿内克幸/冬支度(延期)
・3/26(土)東京 中目黒 FJ'S 青木孝明&伊藤隆博
YouTube(melody circleチャンネル)で何曲か披露されているが、全て素晴らしい仕上がりで、リリースが楽しみである。
・文中敬称を略させていただきました。
・追記~2014年年末のベスト・アルバム『タイムトラベラー』の発売記念ライヴ用に作ったフリーペーパー「AOKI TAKAAKI another story」に加筆修正したのが、この記事です。
若干情報を追加したり、言い回しは変えていますが、基本的内容はそのままにしてあります。
青木さんのブログを参考にしようと確認したところ、新作を制作中とあり、胸熱になってしまいました。
途中若干のブランクはありますが、30年近くライヴを見続けた私の視点での青木孝明さんの歴史ということで、アナザー・ストーリーとしました。もう一つ、当時衝撃を受けたDVDの英題から引用してます。
青木孝明さん、誕生日おめでとうございます。
長々と書きましたが、今回一番言いたかったのはそれに尽きます。
フリーペーパーのデザインをお願いしたザジ式さん、TOKYO MORの田中啓和さん、柴山一幸さんのお三方に深く感謝します。
・最新更新~2021年12月27日
All written by Hiroshi Sugar Sugai
Twitter @sugasugarheaven
Instagram @gost2sinn
皆さまからのご意見ご感想お待ちしています。
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