・懐古な説明~今回はGO→ST通信vol.37(2016年2月20日に配布)を加筆修正した内容です。
その前のvol.36(2016年1月29日下北沢風知空知で配布)もメトロトロンレコードについて書いたのですが、柴山さんの熱演と共演が鈴木博文さんと青山陽一さんということもありまして、その日は配布しきれなかったのでした。
それならと柴山さんの15周年ライヴに合わせて書き直すことにしました。
実はこの日、15周年記念ライヴというだけではなく、柴山さんの新作は移籍先のmaoレーベルからリリースされることが発表される日でもあったのです。
GO→STで2枚のアルバム(『君とオンガク』と『YELLING』)をリリースして、ほとんどのライヴのお手伝いをしていたのでちょっと複雑な心境でしたが、柴山さんの判断に従うしかないと思っていました。
それにレーベル移籍後もライヴのお手伝いは継続するということが決まっていたので、気分一新して柴山さんやメトロトロンレコードの歴史や今後についてのことを書きたくなったという記憶があります。
ライヴ前に読んでもらった方がより流れが明らかになるかも?と思いましたが、SNSなどでアナウンスすることを思い付かず、普段通りにご所望の方々に取りにきていただくスタイルになったことはちょっと残念でした。
それではメトロトロンレコード~柴山一幸さんについての文章になります。
もう少しお付き合いください。
・今から15年前の今日、つまり2001年2月20日に柴山一幸さんのファースト・アルバム『Everything』がリリースされました。
そのリリース元であるメトロトロンレコードにはどんなアーティストがいたか、どんな流れにあったかを駆け足ではありますが、この機会に振り返ってみます。
第1弾のリリースは1987年10月の鈴木博文さんのファースト・ソロ・アルバム『Wan-Gan King』でした。今からほぼ30年前のことになります。
当時、インディーズの作品を取り扱うお店はものすごく少ない時期で、通販をするにしても現金書留でやり取りをしていたのでした。
つまり、作品を手に入れるにはそれなりの努力が必要だったのです。
『Wan-Gan King』に話を戻しますと、アルバムのレコーディングや(ツアーを含む)ライヴのサポートを担当していたのが、カーネーションでした。
リーダーの直枝政太郎(当時・現在は政広)さんはメトロトロンレコードの前身と呼べるであろう水族館レーベルのオムニバス『陽気な若き博物館員たち』にソロ名義で「運河の兵隊」と「トロッコ」で参加し、その後ナゴムレコードからカーネーションで「夜の煙突」を、スイッチから『DUCK BOAT』(A面はカーネーション、B面は博文さんと直枝さんのユニット政風会という内容)をリリースしています。
その前には博文さんと美尾洋乃さんのMio Fouのライヴのサポートを担当していますね。
1988年3月には満を持してファースト・フル・アルバム『YOUNG WISE MEN』をリリースしました(リリース時点ではアナログ盤のみ)。
彼らの勢いはそれにとどまらず、その年の夏には徳間ジャパンのWAXレーベルから『GONG SHOW』をリリースしています。
初期のメトロトロンで彼らが参加した作品はまだあります。
それは1988年12月にリリースされた、コルネッツのファーストEP「CORNETS」です。当時のメンバー全員が参加していて、『DUCK BOAT』のアコースティックで繊細な部分が受け継がれているように思います。
今、コルネッツを聴き直すと、(特に初期の)空気公団に近い印象があります。空気公団の初期音源集がバンブルビーレコードからリリースされていたり、ライヴのサポート・メンバーの顔ぶれをみると、全くの見当違いではないはずです。一度聴き比べてみてほしいものです。
近年、ファースト・アルバム『乳の実』がボーナス・トラック収録で再発されたり、ライヴ活動も再開しているので、是非チェックしてみてください。新作も録音中とか。
現在、ソロで活動している綿内克幸さんと小池雄治さんのユニットwebbはメトロトロンレコードから2枚のEPをリリースしていますが、それ以前に平忠彦さんのイメージ・アルバム『FAST PRIZE』収録曲「AREA CODE 001」(ちなみにトラックは政風会によるもので、政風会のライヴなどで演奏されたことがあります)にヴォーカルで参加していたり、オムニバス『“ADVENTURES in “TURN TO THE POP”』にN.O.T. with webb名義で参加しています(N=ギター成田忍さん、O=ベース沖山優司さん、T=ドラムス寺谷誠一さん~このアルバムには当初アーバン・ダンス名義で参加する予定があったと記憶してます)。
綿内さんは2020年新作を発表し、発売記念ツアーには青木孝明さんがレギュラーで参加し、西村哲也さんがゲスト出演しました(ちなみにリズム・セクションは元ザ・コレクターズの小里誠さんと阿部耕作さん)。
雑誌「IND'S」のイベント「TURN TO THE POP」などでカーネーションとよく共演していたのがGRANDFATHERSでした。彼らはナゴムレコードからシングル「流れ星老人」をリリースしたり、数枚のオムニバスに参加して、KUKIのビデオに楽曲(「にんじん」「きかん坊」など)が使用され、好事家の間で噂になっていたバンドでした。
メトロトロンレコードからアルバムをリリースする最大のきっかけはTENTレーベル、究極のバンドオーディションに出場したことだと思われます(この時点では青山陽一さん、大田譲さん、西村哲也さん、鈴木秀明さんに三原重夫さんの5人編成でした)。
会場はFM東京ホール、後にこの日の「きかん坊」が放送されています。
昭和の終わりから平成の始めにかけて(その楽曲は「Slit No.1」)録音された彼らのファースト・アルバム『Western Charnande』は1989年4月1日(消費税が導入された日でもあります)のことでした。同時発売でカーネーション『YOUNG WISE MEN』が初CD化されています。
1989年5月には所属アーティスト総出演のメトロトロンワークスが九段会館で開催され、アンコールでは全員で「ジョニー・B・グッド」を演奏しました。
メトロトロンは新しいアーティストを紹介しただけではなく、関連アーティストの再発、音源や映像の発掘も手がけていますね。
鈴木慶一さんのソロ・アルバムとして『火の玉ボーイ』を、ムーンライダーズの『アマチュア・アカデミー』を再発し、ムーンライダーズの1986年(結成10周年)の恵比寿ファクトリーでのライヴ映像を『THE WORST VISUALIZER』としてリリースしています。
1990年にはGRANDFATHERSの青山陽一さんが初のソロ・アルバム『SINGS WITH THE BLUEMOUNTAINS』をリリースしていますが、バンドとしてはドラムスの鈴木秀明さん脱退もあって、なかなか活動が安定しない時期でもありました。玉城宏志さんのバンドにいた梶原茂実さんが加入しましたが、短期間の在籍となりました。
10月のツアーにはサポートとして、元メンバーで当時メトロファルスの三原重夫さんが参加しています。
1991年には彼らのライヴやレコーディングに鈴木博文さんやあがた森魚さんのライヴでドラムスを担当していた雷蔵のドラマー夏秋(文尚)冬春さんと、キーボードにカーネーションの棚谷祐一さんが参加するようになったのはこの年のことだったはずです。
1991年にはセカンド・アルバム『BBB』をリリースしたり、秋には鈴木博文さんとジョイント・ツアーを行ったのに、年末には『大往生』(解散)することになりファンを驚かせました。
青山陽一さんはソロ、大田譲さんはカーネーションに加入、西村哲也さんはコルネッツやD-DAYのサポートをしつつ、自らのバンドアコーディオン・プリーツやBACK WATERSでの活動を経てソロ活動をすることになります。メトロトロンから2000年にリリースされたファースト・ソロ・アルバム『ヘンリーの憂鬱』は名盤中の名盤です。
そして、解散後に彼らはベスト盤『GOLDEN HARVEST』をリリース。発売記念にライヴをやって以降、徐々に活動を再開するようになりました。
2012年にはサード・アルバム『GRANDFATHERS』をリリース。エンジニアは鳥羽修さん、ジャケット・デザインはオリジナル・メンバーの鈴木秀明さんが担当。
現在もマイペースで活動中です。
この時期、カーネーションは森高千里さんが代表曲「夜の煙突」を取り上げて更に注目されるようになり、ギターに鳥羽修さんとベースに大田さんが加入し、更に勢いに乗っています。
コロムビアに移籍後は渋谷公会堂など、ホールコンサートも実現したりと大活躍しました。
が、2003年にはギターの鳥羽さんとキーボードの棚谷さんが脱退し、エイベックスへ移籍し、直枝さん、大田さんに矢部さんの3人編成の時代がしばらく続きますが、矢部さんが腰痛悪化などのため脱退。
現在は直枝さんと大田さんにライヴやレコーディングではサポートを迎える形で活動中です。
山根こういちさんと鳥羽さんのユニット、モスキートもメトロトロンにアルバム『モスキート』を残しています。鈴木博文さんがモスキートのデモを聴いたことが、鳥羽さんのカーネーション加入のきっかけだったのは割と知られたエピソードだと思います。
そのモスキートや西村哲也さん主催のイベント「KOBITO POWER PRESENTS」に出演していたのが青木孝明さん。名古屋と大阪のメトロトロンワークスでwebbのライヴのサポートをしたのはその少し後だったか?
『L/C』でデビュー後、メトロトロンにCDを送ったことから、メトロトロンレコードからはセカンド・アルバム『MY FRIEND IN THE SKY』『melody circle』『PHASE FOUR』の3枚のアルバムをリリースしています。
そして、綿内克幸さん、鈴木博文さん、THE SUZUKIに青山陽一さんのTHE BLUEMOUNTAINSや柴山一幸さんのライヴやレコーディングに参加と、プレイヤーとしても貢献度大です。
青木さんはその後『ONE DAY』『さようなら、夢』の2枚のオリジナル・アルバムとベスト盤(2枚組)を発表したり、西村哲也さんと元セロファン、タマコウォルズの河野薫さんとBAND EXPOを結成してアルバムをリリースしました(ちなみにBAND EXPOをドラムスでサポートしていたのが矢部浩志さん)。
その他、濵田理恵(DARIE)さん、元タンゴ・ヨーロッパのさいとうみわこさんのデュエット・アルバムと演歌アルバム、栗コーダーカルテット、名ギタリスト徳武“Dr.K”弘文さんに加藤千晶さん、モーガン・フィッシャーという方々がメトロトロンからアルバムをリリースしています。
発掘音源は幻のバンドだったアートポート、鈴木慶一さんの未発表音源集『THE LOST SUZUKI'S TAPES VOL.1』、再発では『DUCK BOAT』や『Mio Fou』などが挙げられます。
その他、THE SUZUKIのEP2枚にアルバム1枚(栗コーダーカルテットとの共演のライヴ・アルバムもありましたね)や鈴木博文さんがコンスタントに作品をリリースしていたので、メトロトロンのカタログは質量ともに充実していました。
一時期、メトロトロンレコードは活動を休止していましたが、現在は主に鈴木博文さんのアルバムをリリースする形で活動中です。
そんな中、2001年2月にリリースされたのが、柴山一幸さん『Everything』だったのです。このアルバムには青山さんと西村さんが参加していたり、柴山さんが青山さんのツアーに同行していたことがあったりで、今日の対バンがGRANDFATHERSというのはその辺を意識して、つまりもう一度原点に戻ってみるという意思の表れだと思っています。
もうひとつの対バンにTAM TAMを選んだのは、新しいバンドと共演することで、新しい一歩を踏み出す決意を表しているのでしょう。
メトロトロンの決意文から引用すると「東京の地下鉄(メトロ)のように入り組んだ音楽」で、それぞれが新しい音楽を作り続けることの素敵さ。それぞれに新しい出会いがあれば、その分だけその機会が増えるように思いますから。
『YELLING』は柴山さんの15年間(表面的に活動していない時期も含めて)の集大成だったと思います。
アルバム発表後の様々な出来事や新しい人たちとの出会いで、柴山さんの作品やライヴがどう変化するのか、まだまだ目が離せそうにありません。
・20th.Feb. 2016 柴山一幸 セット・リスト
01.Welcome! Welcome!
02.君とオンガク
03.つよいヨワムシ
04.プラモデル
05.たとえばこんなレクイエム
06.butterfly
07.環状レース
08.オマモリ
09.Headway
10.りんご病のあの娘
Encore
01.せつなマニア
02.ポイントカード
03.万能細胞
Encore 01.by 柴山一幸&杉浦琢雄
・柴山さんのその後をおもいっきり駆け足で紹介すると、maoレーベルでアルバム『Fly Fly Fly』をリリース後は文字通りの師弟ユニット、「師弟TUNE」を経て現在は「愛しあってるかい」というバンドと杉浦琢雄さん(東京60WATTS)とのユニット「BitterSweet's」で活動中です。
追記~実はこれも結果として長くなってしまいました(苦笑)。メトロトロンの歴史は駆け足駆け足でもこれくらいは必要なのでした。
それに柴山さんに対する私の思い入れもありますから、長くなってしまったと思います。
柴山さんのアーティスト・ヒストリーに関してはmaoレーベルでアルバム『Fly Fly Fly』をリリースした際に、柴山さんとレーベル・マスターの石本聡さんと修正しながら書いたstory of IKKOなどを参照してください(現在、見ることができない模様、申し訳ないです)。
あれは、基本、私が書いたものをお二方の意見を参考にし、修正して進行する形だったので、完全に共作だと思っています。
柴山さんのライヴのお手伝いを今後する可能性は正直低いのですが、別の形で何か私にできることがあれば、とも考えています。
そして、当時の柴山さんのバンド・メンバーのドラムス矢部浩志さん、キーボード杉浦琢雄さん、ベース若山隆行さん、ギター加藤ケンタさんにパーカッションのもりよしきさんに感謝します。
maoのレーベル・マスター石本聡さん、TOKYO MORの田中啓和さん、GO→STのレーベル・ディレクター宙GGPキハラさんのお三方にもこの機会に感謝を。
長くなってしまったので、追記が長いと更に読んでもらえないからこの辺にしておきます。
All written by Hiroshi Sugar Sugai
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